テカポ湖で遭遇したマゼラン星雲、そして赤いオーロラ
こんにちは。
今回紹介するのは、南半球のニュージーランドで撮影した天体写真・星野写真です。
目次
南半球のニュージーランドで天体撮影
念願だった、南半球 ニュージーランドでの星空撮影。夫婦で旅費の合計は100万円、職場で10連休を取得し海外旅行に行って来ました。
これだけ日数と出費を費やして海外旅行に行くのですから、星景写真だけ撮影するのは勿体無い。そこで、荷物が制限される中で頑張ってポータブル赤道儀「ポラリエU」を持参。
撮影したいと考えていたのは、もちろんマゼラン星雲。南半球でしか見られない肉眼でも確認できると言う小マゼラン雲・大マゼラン運を、是非望遠レンズで捉えたいと考えました。また、2016年と2019年にハワイ島で見た南十字星も、ガッツリ撮影しようと考えました。
長い長いニュージーランド旅行では、テカポ湖に宿泊したのが4泊。その中でも、日没直後から日の出以降までガッツリ張り込んだのが到着初日と3泊目の夜。そして、ポータブル赤道儀で天体写真・星野写真を撮影したのは、最も長い3泊目の夜でした。
と言うのも、5月のニュージーランドは、日没が午後17時過ぎ、日の出が朝の7時過ぎと夜の時間がめちゃくちゃ長いのです。その為、撮影中も車があれば仮眠が可能ですし、撮影の幅を広げる余裕も生まれます。
と言う事で、記事トップに載せた美しいテカポ湖の湖畔で撮影に臨みました。
今回の撮影機材について
海外旅行(荷物が制限される航空機)、その為小型軽量で比較的明るい望遠レンズと言えば、全カメラカテゴリーでこれ一択と決まっています。
それが、タムロン70-180mm2.8初期型(後継機は重量が増した為論外)、そしてポータブル赤道儀のポラリエUです。実は、今年の初めにポラリエからポラリエUに赤道儀を更新したのですが、試し撮りを行ったのはたった一回。操作性がシンプルであり、初期型のポラリエよりも構造が洗練されている為、問題なく撮影が可能でした。
赤道儀と一眼での天体撮影をご検討の方、この組み合わせは是非おすすめです。
撮影方法と極軸合わせについて
ポラリエUの設定ですが、そもそも南の空に向ける為、回転方向を逆に設定します。
この時点で初心者は失敗しそうですね。南半球は、三日月月の形や空の動きが全て北半球の逆です。太陽は北の空に弧を描くように移動します。覚えておきましょう。
問題の極軸合わせですが、南天には北極星のような目立つ地軸を示す星が存在しません。その為、明るい天体を指標に台形のなんちゃらを特定しするのですが、予め予習しておいたので問題なく地軸合わせが可能でした。
天の南極特定の詳細は、マゼラン星雲で三角形を作るパターンや、ケンタウルス座α・βを直線で結び二等分線した延長、南十字星のαとγ星を結んだ線分を5倍延ばした先等色々ありますが、そこは専門的に書かれている記事が無限にあるので検索を!
南半球で見る南天の天の川
こちらが70-180mmf2.8の70mmで撮影した南天の天の川です。
この写真を見た瞬間に南十字星が分かる方は非常に優秀ですね(写真中央右)。近くには二つ並ぶ明るい星、ケンタウリα・βも美しく輝いています(写真左上)。また、南十字星のγ星付近には暗黒部のコールサックが見られます(写真中央)。
余談ですが、日本で皆が言う夏の天の川は写っていません。銀河の中心は北半球とは違い、東の空から北の空高くに昇り、未明に南の空に降りてくるイメージなので、今回はほとんど撮影しませんでした。
南十字星
タムロン70-180mmf2.8の望遠端180mmで南十字星のみを撮影。
撮影の詳細ですが、絞り開放で長時間露光し10枚以上をノイズ除去を目的にスタック処理しています。パソコンで見てもほぼ星が流れていない為、南天の極軸合わせは成功しています。どちらかと言うと、ピンとの追い込みが望遠端でやや甘いかもしれません。
今回はSTCのクリップタイプのフィルター、スターミスト2を使用しています。2019年のハワイ島では、SEL70200GMの一枚撮りをソフトフィルター無しで撮影していたので、メインの星が強調されず消化不良でした。今回は良い感じに強調されて満足です。
あとは星の色でしょうか。やはり天体改造機でないのでアクルクス(α)の赤色が出ていないですが、青い星は綺麗に写っています。
マゼラン星雲
いよいよ来ました。南半球でないと絶対に見られないマゼラン星雲です。
この天体をどれだけ長い事撮影したいと思ったか。こちらは70mmで撮影しましたが、写真左手が小マゼラン星雲、写真右手が大マゼラン星雲です。レンズ交換するのが面倒だったので70mmで撮影しましたが、やはり35mmや50mmで撮影すれば良かった。
ちなみに14mmで撮影したのがトップ画像のこちらです。
超広角でも左の空にはっきりとマゼラン星雲が見えますよね。こうしてみると天の川より目立つマゼラン星雲ですが、肉眼では非常に薄く、すぐに雲やオーロラに呑まれてしまいます。
ここで、マゼラン星雲の豆知識をググったのでちょこっと。
我々地球が存在する天の川銀河のすぐ隣にあるのが、大マゼラン星雲(かじき座)と小マゼラン星雲(きょしちょう座)。アンドロメダ銀河と違い不細工な形をしている事から、不規則型銀河と言われています。他のサイトでも、やはり肉眼では写真より淡いと述べられており、南十字星とともに南半球の空を代表する天体です。
ここからは重要!
15世紀頃に南の海を航海する船乗りに認知されましたが、名付け親は初めて世界一周の航海をしたマジェランだそうです。漫画・アニメのワンピースでマゼランって居ましたが小田さん何か関係があるのでしょうか。
大マゼラン雲
180mmで撮影した大マゼラン星雲。
小マゼラン雲
180mmで撮影した小マゼラン星雲。
まとめ
今回は、南半球のニュージーランドで撮影した天体写真・星野写真を紹介しました。
南十字星をはじめ、南天でしか見る事のできないマゼラン星雲を最高のカメラ機材で撮影できた事は、自分の人生にとって新たな経験と刺激になってくれました。本当に大満足です。
こうしてみると、タムロンの70-180mmf2.8は本当に素晴らしいレンズですね。200mmだと大型化し大マゼラン雲を写し入れるには寄り過ぎるのでちょうど良かったです。
撮影状況ですが、ニュージーランドでは南十字星は本当に頭上真上を通ります。本来、ポータブル赤道儀だと頭上は無理のある方向で、重心バランスを調整する追加パーツが必要になって来ます。その為、未明に南十字星が下がって来た頃に撮影しようと考えていました。
しかし、待ちきれずに高い位置に南十字星がある時間帯に挑戦したのですが、ポラリエUとタムロン70-180mm初期型の組み合わせは問題なく撮影が可能でした。自分のカメラ機材選びに間違いは無かった。
そのおけげで、天の川が降りて来た未明の時間帯は、ゆっくりパノラマ撮影にも挑戦できました。その様子は次回に紹介します。
それではまた。