こんにちは。
今回紹介するのは、ソニーがフルサイズ一眼カメラのEマウント用に出しているレンズ「SEL35F28Z」のレビューになります。
このレンズは「誰も造らなかったカメラ」と言う、α7が登場した当初のコンセプト通りに作られたレンズに仕上がっており、自分はずっとお気に入りで約5年間使用しています。
目次
SEL35F28Zについて
ソニー SONY 単焦点レンズ Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA(SEL35F28Z)
SEL35F28Zは、2013年の年末頃、初代α7と同時に発売された35mmの単焦点レンズです。
その特徴は何と言っても圧倒的な小型軽量さであり、これが所有する理由とも言えます。また、単焦点レンズとしては絞りが開放f2.8と暗いのですが、情報収集によると上位モデルのレンズであるSEL35F14Zよりも逆光耐性が上だとか。メーカーの宣伝文句を一部抜粋します↓
ツァイス「ゾナーT*」レンズがもたらす、画面全体の高いコントラストと解像力
α7シリーズにふさわしい、小型高性能で汎用性の高い35mm単焦点レンズ
使い勝手のよい開放絞り値F2.8
ふむふむ、上の二行はその通りですね。ただ「使い勝手のよい開放絞り値F2.8」と言うのはよく意味が理解できません。何の使い勝手がいいんでしょうか。個人的には、使い勝手はさまざまなシーンで対応できるf1.4やf1.8の方がいいと思いますが、この辺りはソニーさんに聞きたいところです。
35mm単焦点レンズの比較
ここでは、ソニーから出しているフルサイズ対応のEマウント用レンズで35mm単焦点レンズを比較・紹介したいと思います。
【SEL35F28Z】発売日(2013/11/15)、価格(¥64,280~希望小売価格¥84,000税別 )
開放絞値:f2.8/最短撮影距離:0.35m/最大撮影倍率:0.12倍/重量:120g
【SEL35F18F】発売日=2019/08/30、価格(¥67,280~希望小売価格\87,000税別 )
開放絞値:f1.8/最短撮影距離:0.22m/最大撮影倍率:0.24倍/重量:280g
【SEL35F14Z】発売日=2015/06/26、価格(¥164,699~希望小売価格¥220,000税別 )
開放絞値:f1.4/最短撮影距離:0.3m/最大撮影倍率:0.18倍/重量:630g
見てお分かりの通り、ソニーの純正で出ている35mmの単焦点レンズはこの三本です。違いは単純で、スペック別に三種類用意されていると言った感じ。
SEL35F14Zは最高の光学設計で作られたレンズで、スペックや価格がお高いです。自分は2016年までは購入候補ですが、逆光に弱い事や大きさ重さ、既にSEL35F28Zを持っていたことから、購入候補から外しました。
SEL35F18Fはつい半年前に発売した無印レンズで、絞り開放f1.8と言うのが特徴です。こちらは自分が最近追加購入したレンズで、本来5年前には出して欲しかったスペックです。大きさ重さ写りなど全ての面でバランスがいいのですが、無印にしては価格が高い気もします。
SEL35F28Zはこの記事で紹介しているレンズですが、ツァイスブランドととにかく小型軽量をテーマにして作られたレンズで、フルサイズ一眼カメラを手軽に持ち出すのに非常に都合のいいレンズに仕上がっています。上の三本のレンズのグラム数を見てもらうと明らかで、レンズ単体120gと言う化物レベルの重さです。メリットはどこに持っていくにも困らないサイズ感で、バックに忍ばせておくにもいいサイズです。デメリットはとにかく高い事です。絞り開放f2.8の暗さで何故8万円を上回るのか…。当初のソニーはとにかくツァイスレンズをたくさん作っており、ソニーの売りでもある反面ブランド価格に跳ね上がっている点がありました。まあ、写りは本当にいいので文句は言いませんが…。
SAMYANG 単焦点広角レンズ AF 35mm F2.8 FE ソニーαE用
余談ですが、サムヤンにSEL35F28Zと全く同じスペックのレンズが発売されています。ただ、こちらも何故か四万円近くする価格となっています。これなら、中古の美品で純正品を買ったほうがいい気がします。
外観
SEL35F28Zを正面から撮影した写真です。フードを外していますが、レンズ自体が非常に薄く、この組み合わせでないとカメラバックに入らないと言うシーンもあります。レンズが出っ張っていない為、嵩張らない訳です。これだけで持ち出す理由になります。
蛸壺型フードで有名なSEL35F28Z。フードにはカールツァイスと書かれています。自分は当初、このフードがカッコ悪いと感じていましたが、逆にこのフードが気に入っています。
レンズ単体の写真を紹介します。左がSEL35F28Z、右がSEL35F18Fです。開放F値の違いでこんなに全長が変わるんですね。また、フードの形状でも大きさがかなり違ってきます。
作例
ここでは、SEL35F28Zで撮影した作例を紹介していきます。自分のSEL35F28Zの使い方は、やはり東京都内での買い物時などでとにかく一緒に持ち出す事でした。その為、テーブルフォトやスナップ写真の撮影が多くなります。まずはテーブルフォトから行きましょうか。
テーブルフォト/物撮り
α7Ⅱ+SEL35F28Z 35mm f4 ss1/60 iso1600
これは、2017年の3月にとあるカフェで撮影した一枚です。真上からバターチキンカレーを撮影したテーブルフォトですが、カフェ店内の暖色系を強くイメージしています。当時は低isoに拘っていなかったので、こんな撮影設定です。35mmの単焦点レンズはまさにこう言う写真を撮るのに適している、そう再認識させてくれるお気に入りの一枚です。
α7Ⅱ+SEL35F28Z 35mm f2.8 ss1/60 iso250
上と同じ日に店内を撮影した一枚。絞り開放と背景ボケの様子が分かる一枚です。ある程度大きな被写体と環境によっては、十分背景ボケを楽しむことができます。
α7Ⅱ+SEL35F28Z 35mm f2.8 ss1/15 iso100
こちらは2020年の2月、茨木県にあるコーヒー屋さんで撮影したカプチーノの写真です。この頃は低iso絞り開放が定着しています。
α7Ⅱ+SEL35F28Z 35mm f2.8 ss1/20 iso400
こちらは2020年の2月に行った別のカフェで撮影した一枚です。SEL35F28は周辺減光が非常に目立つ為、逆にレンズの味として表現するのにいいです。
α7SⅡ+SEL35F28Z 35mm f4 ss1/160 iso160
2019年の梅雨頃に銀座のソニーストアに行った際に撮影した一枚。物撮りのカテゴリーに入るのかは分かりませんが、犬のロボット アイボを囲んで撮影会が開かれていました。面白い光景ですね。35mmならこう言う屋内の小さなイベントも撮れます。
スナップ写真/夜景
テーブルフォト/物撮りに続き、SEL35F28Zをフルに活用したスナップ写真の作例を数枚紹介します。まずは比較的昔に撮影した夜景を背景ボケで分かるものから。
α7Ⅱ+SEL35F28Z 35mm f2.8 ss1/40 iso1600
2016年の年末に撮影した一枚。東京駅の丸の内でスナップ写真を撮影したのですが、車という大きな被写体を絞り開放で撮りました。背景のイルミネーションや人物のボケ感が参考になると思います。
α7Ⅱ+SEL35F28Z 35mm f2.8 ss1/40 iso1600
上の写真と同じ日に絞り開放f2.8で撮影した一枚。自転車に対する東京駅の背景ボケが確認できます。この時はとにかく手ぶれ防止を意識し、iso上限1600にしていました。懐かしい。
スナップ写真/街角スナップ
α7Ⅱ+SEL35F28Z 35mm f2.8 ss1/6 iso100
2019年の夏の終わり、東京の居酒屋通りで撮影した一枚です。アンダー気味なスナップ写真ですが、何とシャッタースピードが1/6ですね。これで手ぶれを起こしていないですのは凄い。
α7SⅡ+SEL35F28Z 35mm f8 ss1/ iso100
2018年の2月、比較的田舎の住宅街をだらだら歩きながら撮影した一枚。カラーだと微妙でしたが、モノクロ写真に助けられた一枚です。ちょうど電車が通ってくれたので、歩き撮りらしい街角スナップ写真に仕上がりました。
α7SⅡ+SEL35F28Z 35mm f8 ss1/5 iso200
2019年の春に東京の有楽町から銀座へ出かけた際に高架下で撮影した一枚。雨が降っており、行き交う人たちはみんな傘をさしていました。大好きな平面構図のスナップ写真です。
風景写真
SEL35F28Zは街歩きに多く持ち出すのですが、SEL1635GMと焦点距離がかぶる為、風景写真の撮影で持ち出す事は少ないです。そんな中でも作例を探してみました。
α7SⅡ+SEL35F28Z 35mm f8 ss1/400 iso100
α7SⅡ+SEL35F28Z 35mm f8 ss1/2500 iso100
この二枚は茨木県の大洗へ星空撮影に行った後に撮影した写真です。SEL35F28は、青空や水と光を写すのに威力を発揮する気がします。それにしても、振り返ると星空撮影のこの日に、よく単焦点レンズを持ち出したなと感じます。
α7SⅡ+SEL35F28Z 35mm f8 ss1/800 iso100
こちらは2018年の2月、α7SⅡ初出勤で公園に出かけた際に撮影した一枚です。レンズと言うよりは、当日の雲の表情や飛行機など環境が良かったと言う作例です。風景写真にするかスナップ写真にするか迷いましたが、飛行機が来るのをじっくり待って撮影したので、スナップではないかなと思い、風景写真に分類しました。
星景写真/星空(天の川)
α7SⅡ+SEL35F28Z 35mm f2.8 ss13 iso3200
非常に珍しいSEL35F28Zで撮影した星空の写真です。こちらは、2020年の2月の未明に天の川が昇るところを撮影した星景写真です。ライトルームで周辺減光を補正しているのですが、それでも絞り開放では目立ちます。ただ、解像度は凄いです。
SEL35F28Zの周辺減光
SEL35F28Zを使用し、一般的な目線でのデメリットな点は周辺減光が非常に強い事です。とは言っても、自分は周辺減光のある写真は好みであり、テーブルフォトやスナップ写真では、むしろレンズの味となってくれます。
SEL1635GMの35mmと星空の作例で比較!
ここでは、SEL35F28ZとSEL1635GMの35mmを比較し、どのくらい周辺減光が目立つのかをお伝えしたいと思います。周辺減光が特に著名にでるのが星空の写真。今回は、夏の天の川を全く同じ設定と画角で撮影した作例があるのでご覧ください。
α7SⅡ+SEL1635GM 35mm f2.8 ss13 iso3200 レンズ補正なし
α7SⅡ+SEL35F28Z 35mm f2.8 ss13 iso3200 レンズ補正なし
上がSEL1635GM、下がSEL35F28Zの写真で、どちらも周辺減光/レンズ補正なしで現像しています。SEL35F28Zの周辺減光が目立ち、非常に分かりやすい作例になっています。
まとめ
SEL35F28のレビュー、いかがだったでしょうか。こちらは特にスナップ写真の作例がありすぎて、どの写真をこの記事に載せようか非常に悩みました。また、日の出の作例もあるのですが、まだ現像していないので後日追記するかもしれません。
まとめると、SEL35F28は寄れない、周辺減光が多い、開放絞り値が大きいレンズですが、高コントラストで高解像、逆光耐性に強い、そして何より小型軽量なレンズです。
レンズの特徴をよく理解すれば、使用頻度が高くなる事間違いなしのレンズです。また、現在は中古価格帯が40000円ちょいのものもあるので、SEL35F18Fよりも安く買えます。
自分はSEL35F28Zを約五年間使い続けてきましたが、SEL35F18Fを追加購入した今でも手放せないレンズとなっています。それは、高画質なツァイスレンズと言うだけでなく、やはり小型軽量な点と言う魅力があり、どこへでも持ち出したくなるからです。最近シグマさんから出た45mmf2.8と言うレンズが、唯一SEL35F28Zのコンセプトに習っていると感じます。
最後に、自分の願いとしては、ソニーのEマウントフルサイズ一眼で、ペンタ部のないα5が登場する事です。そうすれば、SEL35F28のコンパクトさがさらに活きてくるのにと感じています。理想はNEX-7のボディにフルサイズセンサーを搭載し、SEL35F28Zをつけて持ち歩く事ですね。RX1シリーズの後継機も出ないですし、ソニーさんお願いしますよ。
この記事が、35mmの単焦点レンズの購入を検討している方の参考になれば幸いです。
コメント
こんにちは。
小型軽量なレンズって日常的にカメラを持ち出そうという気にさせてくれて良いですよね!
また旅行や登山など1日中持ち歩く時には120gの重量が体力温存にかなり貢献してくれそうです✨
このコンパクトな筐体でこれだけの画質を実現させるとは流石ツァイスです。
僕もEマウントユーザーだったらきっと買っていたと思います(*^^*)
石原さんへ。
コメントありがとうございます。このレンズ、もっと評価されていてもいいレベルですが、発売当時「寄れない」点で不評でした。
自分は最近35mmf1.8の純正レンズを追加購入したので微妙な状況ですが、やはり魅力的なレンズには変わりないです。